保育士が夢破れて保育を嫌いにならないために(熱中症になり改めて気づいたこと)

熱中症でぐったりしている保育士

みなさん、こんにちは。 

Panda’s breath(パンブレ)の関まりねです。

毎日毎日暑い日が続いてますね。この暑さ(熱)、冬にとっておけたらいいのに・・・と毎年思います。

さて、昔と今の保育の違いで驚くことは多々ありますが、

そのうちの一つが、「暑すぎて水遊びが中止になる」ことです。

暑い時期だからこそ、水遊びやプール遊びを存分に楽しめるはずが、暑い時期に暑すぎて夏の遊びができないなんて…。ひと昔前には考えられないことでした。ここまで季節が変わってしまったとは、驚きです。

そんな暑い時期に、私が最近体験したエピソードにふれながら、今回は、現場で働く保育士をもっと労わってほしい、また労われる環境をちゃんとつくってほしい。そしてそれが保育現場から離れようとする保育士をつなぎとめられるかもしれない、ということについてお話したいと思います。

🍉過酷な保育の場

先日、はじめての保育園にて、保育のサポート(担任サポート)をしました。

保育の基礎基本はどこも同じ!とは思いますが、そうは言っても、その保育園ごとに大事にしている保育方針や目標などがあり、それにそって柔軟に動いていくことを心がけて保育サポートをすることは、結構年長者保育士といえども緊張するものです。

そんな緊張をしながら、昼休憩を含めて8時間程度保育園に拘束されます。

保育の内容は、午前中の保育、昼食、着替え、午睡(お昼寝)、午睡から起きてきた子の保育、おやつ、午後の保育など。

このような流れで、昼休憩以外は、ほとんど子どもに接していました

3歳未満児クラスでしたので、まだ言葉の表現が未熟なためなどの理由からか、他の子に手が出てしまう子がクラスの大半を占めていました

そのため、目が離せず、一瞬も気が休まらない状態が長く続きました

まぁ、そのような状況だからこそ、保育のサポート(私の手)が必要とされたのだと納得しました。

その日の業務が終わり、退勤後の帰り道で気づきました。

あれ、私今日一日で水分を摂ったのもトイレに行ったのも、昼休憩の時だけだった」ということに。

その晩、一気に体の調子がおかしくなりました。

水分をいくら摂ってものどの渇きがおさまらない。(その割にはトイレにもいきたくならない)。

そのうち、頭痛、吐き気、動悸、めまいに襲われ、それがしばらく続きました。

幸い徐々に症状が治まってきたので、受診はしませんでしたが、おそらく熱中症や脱水症だったのではないかと思われます。

今思えば「水分を摂ってきてもいいですか?」とか「トイレに行ってきたいのですが」と、なぜ言わなかったのだろうかと悔やまれます。でもそれは、今だからこそ考えられることであって、あの時のあの状況では、とても言えませんでした

一瞬も目を離せない子たちが大勢いて、他の保育士さんたちも緊張しながら視線を動かしていることがわかりましたし、言えるタイミングもありませんでした。

この日のことを思い出すと、(またあの体調不良の症状が起こるのではと考えると)恐怖です。

新人保育士

🍉新人にはできる限りの配慮を

保育の業界に長くかかわってきた年長者の私でさえ、はじめての園は緊張して言えないこともあるのです(もちろんちゃんと言える人もいるとは思います)。

なので、保育現場に初めて出る新人保育士さんや、現場に出てまだ日が浅い保育士さんは、自分から「水飲んでいいですか?」の一言すら言えないと思います。そのため、周囲が配慮して意識して声をかけていくことが必要不可欠です。これは決して新人を甘やかすとかそんな問題ではありません

もちろん、ちゃんと配慮してくださる保育士さんも多くいます。別の保育園では、「子どもと一緒のタイミングで水分どんどん摂ってね。摂り忘れると大変だからほんとに摂ってね」と声をかけてくれたり、水遊びの補助の際も自分より先に、涼しいところに行って水分を摂ってくるよう指示を出してくれた保育士さんもいました。何度も声をかけてもらった経験があるので、この声かけ(配慮)の「ある」と「なし」の差の大きさも実感しています。

また、自分たち(ベテラン保育士)も水分補給がままならないような状況で、新人に配慮なんてムリ!という現場もあるかもしれません。

そんな現場は根本から間違っています。そのような状況で保育をさせているから、保育士が育たず定着しないため、ますます現場が苦しくなっていくのです。

これは雇われている保育士の問題ではなく、雇用している経営・運営サイドの管理の問題です

水も飲めない、トイレにも行けない、人間としてのあたり前のことすらできない職場(職業)

新人保育士が、自分の心身を守るためにその職場を去ったとしても、その後、こんなつらい思いをするくらいなら「保育現場には二度と戻らない」と判断をすることだって十分あり得ます。

そして、保育士はさらに減っていきます。(潜在保育士はさらに増えていきます)。

泣く保育士

🍉保育士としての職業を嫌いになる前に

今回は、夏場の水分補給を例にあげましたが、これはあくまで一つの例にすぎません。

新人は、ベテランと違い積み重ねた経験がなないので、先の見通しが持てず不安になり、心身により一層負担がかかります。

この事実を、周囲は忘れてはならないと思います。

そして運営側は、その大事な新人保育士の育成をベテラン保育士に丸投げせずに、ベテラン保育士が余裕をもって新人を育成できる環境をしっかりと整え、新人保育士や中堅保育士が保育の場から去っていかないよう(保育が嫌いにならによう)努める(勤める)べきであると思います。

保育士の配置基準をほんの少し見直したことを大きくアピールしているように見えてしまう国の取組み。

配置基準は、子どもの人数だけに限らず、各保育現場で柔軟に動ける状況を考慮した配置人数を考えるべきだと、脱水症でぐるぐる回る天井をみながら、そんなことを考えていました。

夢や希望をもって保育園に就職した保育士を、子どもと同様に「国の宝」と思い、ていねいに大事に育ててほしい。

今後保育の質を上げていくことも課題であるとするならば、保育士の心と身体へのきめ細やかな配慮も本気で考えてほしいと願います。